マクロビオティックとは、少し背筋がのびる響き。健康に気遣いながらも、お酒を楽しめるなんて、実は最高の組み合わせなんじゃないのか。
場所は地下鉄都営大江戸線の若松河田駅近くにあるPOINT(ポアン)さん。植物性の食材のみを使ってつくる、ベジタリアンやヴィーガンの方、御用達のお店。
講師は、酒匠同期のようこさん。ベストボディの大会にも出場するスタイル抜群の美人講師。今回は、酒学講師として初の講座でもある。ホワッとしたやさしい雰囲気で登場した店主の佐々木さんもマクロビについて詳しく、ふたりで教えてくれた。
マクロビとは、中国の陰陽の考え方を取り入れた食事法や思想のことだそう。単純に肉を使わない料理というのとは、ちょっと違うようだ。
大事なのはバランス。季節や住む場所、自分の置かれた環境によって、陰陽状態は変化する。たとえば、日本は"陰"よりなので、なるべく身体を温める"陽"的な食材を摂取するとバランスがとれる。でも、ストレスの多い東京は、"陽"なので、日本酒など"陰"のものでリラックスし、上手にバランスを取るといいのだそう。
基本的にお酒は"陰"のもの。ただし、お酒の中でも日本酒は、蒸留酒などに比べると、中庸より。また、マクロビには「身土不二(しんどふに)」といって、住んでいる土地で採れたモノは、身体にいいという考え方があるのだとか。日本で日本酒を飲むのはマクロビ的にもバッチリなのだ。
さらに、どんな料理と合わせるのか、興味津々。
講座では、陰陽を中心としたマクロビ的な考え方と合わせて、日本酒も春夏秋冬に分類。フルーティな香りのお酒、スッキリ爽快なお酒、しっかりとしたコクのあるお酒、熟成感のある複雑みのあるお酒など、タイプの異なる4種類の日本酒をいただいた。お酒が出てきて、心は一気に"陽"へ!
透明感があり、みずみずしい。梨やライチのような爽やかなフルーティな香り。軽快でなめらかな味わい。乾杯にぴったりのお酒。
★豆乳カッテージチーズのカプレーゼ
※ ★は、この日いただいた料理のなかで、個人的にお酒に合うと思ったもの。
ササニシキ・蔵の華 55%精米 Alc 15% 日本酒度+1〜+3
ラムネっぽい爽やかさ。スッキリだけどコクもある。夏に飲みたい爽やかさ。
★豆乳カッテージチーズのカプレーゼ、玄米塩おむすび
[晩夏〜秋]舞鶴 鼓恩田酒造(新潟)
一本〆(自社栽培)88%精米 Alc 18〜19%未満
日本酒度-1 酸度1.5 アミノ酸1.5
しっかりとしたコク。アタック強め。少し熟成感もあり(蔵内常温で7か月貯蔵)。厚みある。燗酒にしてみたい。幅広い料理と合う。
★わけぎ刺身こんにゃく 筆柿 酢味噌、キノコと大豆ミート味噌焼き、玄米塩むすび、きんつば
55%精米 Alc 16% 日本酒度+5 酸度1.4 低温貯蔵
やわらかく甘いまるみあり。熟成由来の香りが少し。あまり熟成っぽさ感じない。まるみのあるきれいな熟成酒
★豆乳カッテージチーズのカプレーゼ、キノコと大豆ミート味噌焼き、飛龍頭 カボチャ蒸しびたし
植物性の食材で造ったお料理のラインナップ!
豆乳カッテージチーズのカプレーゼ
ほろほろとしたカッテージチーズも手造り。トマトとチーズの酸味が爽やか&クリーミー。
わけぎ刺身こんにゃく 筆柿 酢味噌
酢味噌のコク、旨味とお酒を合わせる。食用菊のほんのすこしの苦味もアクセント。
飛龍頭 カボチャ蒸しびたし
お出汁たっぷりのうまみ攻擊。ほくほくのカボチャも美味しい。
キノコと大豆ミート味噌焼き
味噌のコクとゴボウやレンコンなどが入って、滋養満点。しっかりとした味付け。大豆ミートも食べごたえある。
玄米塩むすび
米と日本酒って組み合わせが新鮮だった! 原料はお米で一緒だし、合わないはずがない。
きんつばって手造りできるんだ〜と感動。お砂糖の代わりに玄米水飴を使っている。
ちょっと味見させてもらったら、麩菓子のふーちゃんみたいな味。自然で素朴な風味ががあった。
最後に、どのお酒とどの料理がマッチしたかなど、参加者同士で共有した。同じものもあれば、自分とは違うけど、なるほど!と思う組み合わせがあったりして、新鮮だった。
短時間でマクロビのすべてを理解するのはさすがに難しい。でも、こういう考え方がある、ということは知ることができた。マクロビ道への扉を叩いた、くらいのことはできた気がする。
身体にいいと言われる類の料理は味が薄くてツマミに向かないかも? と思っていたけど、しっかり味付けされていてお酒にも合った。飲んだり食べたり、ワイワイ語って2時間があっという間だった。
忙しい日が続くと、いつのまにか夏が終わってた…とか、季節さえあっという間に超えてしまうから恐ろしい。生活にマクロビを取り入れたい。お酒もぜひセットで。