先週土曜日のふりかえり。長期熟成酒研究会主催のイベント「熟成古酒探検団」に参加。海水浴場で知られる御宿近くにある酒蔵、岩瀬酒造さんへ行ってきた。千葉県です。
駅に着いて電車を降りると潮の香り。あとカモメ。天気が最高によかったので、南国を旅している気分でワクワクした。
岩瀬酒造さんは、1723年(享保8年)創業と、長い長い歴史ある蔵。そのむかし、遭難したサンフランシスコ号を助けたことがきっかけで、メキシコとの交流があるそうだ。1609年だから、酒造りはまだやってない頃かな。そのときの難破船の帆柱が、今も住宅内で使われていて有形文化財にもなっている。
蔵の一部が診療所になっているのもおもしろい。15年前まで実際に使われていたらしい。
今は、ギャラリーになっていて、先代社長の撮影した海女さんの写真が飾られている。海女さんのヌードがめっちゃ健康的でぜんぜんいやらしくない。写真集としてもいくつか販売されているようです。
さっそく蔵へ。海岸に近く、地下水が貝殻層を通ることで、仕込み水が13〜15と日本の中ではけっこうな硬水だとか。東京の水道水が5とか6とか。
歴史ある蔵特有の神様いる感がすごい。もやしもんみたいに、菌が見えたら楽しいだろうな〜。すごいおじいちゃんがいるはずだ。
つづいて、お宝古酒が眠る貯蔵庫へ。レッツ、お宝さがし探検団!
岩瀬酒造さんは、昭和5年頃から吟醸造りをスタート。鑑評会などでも好成績を残してきた。そういった市販しない酒が蔵に残り、いつしか古酒になっていく。10年以上たって、あるときふと飲んでみたら「なにこれ! …美味しい!」。というわけで、少しづつ貯蔵をはじめたそう。本格的に古酒造りをはじめたのは昭和40年頃から。ただし、現在は造られていない。20年くらい前にやめてしまったそうだ。理由は、貯蔵スペースの問題だそうです。ほんと残念。
さて、お楽しみのブレンディング体験。6種が用意されておりました。
1982年(昭和57年)山廃純米吟醸 コシヒカリ60% ※一段仕込み
1986年(昭和61年)山廃純米吟醸 山田錦55% ※一段仕込み
なぜか一番新しいはずの平成8年の大吟醸の色が濃い! 理由はよく分からないそうです。これぞ古酒の神秘!
まずはそれぞれを味わってみる。
いわゆる紹興酒っぽいのとは、ちょっと違う。スペックからも分かるように、コメをしっかり磨いて吟醸づくりをしたものを熟成しているからだろう。熟成は貯蔵庫の室温。なめらかでスッとした酸味もあるけどとがってなくて、どこか枯れたような味わいもある。コクはあるけど濃すぎることもない。後味の余韻も長すぎないし、焦げた苦味も突出してなくて、まとまり感ある。
一段仕込みで造られた昭和57年と昭和61年の酸味はほかより強い。昭和63年と元年は甘みと酸味のバランスがよい。平成7、8は、熟成感もありつつ、爽やかさもあった。
それからブレンドしていく。
コツは、3:2:1の割合と教わった。核となるお酒を3、次にベースとなるものを2、アクセント的に1のような感じかな。
とりあえず、普段からよくブレンドしているという猛者の方や蔵の人など、みんながやっているブレンドを聞いて真似してみた。昭和61年の酸をベースにしたり、平成7年の吟醸香をベースにしたり、なるほどー!と唸ってばかりいて、いろいろやっているうちに酔っ払ってきた。自分ブレンドは、美味いまずいとか関係なくハンドメイド感があって愛着がわく。DIY楽しい!ってやつ。
昭和48年に金賞受賞した貴重なお酒もいただいた。
最初に飲んで思ったのが「草…?」。畳とかそういう感じの。一緒に行った友人は「古い家の味がする」。このお酒を飲むに値する舌ではなかったです。ごめんなさい。参加した古酒好きの方たちは「うん、味残ってるね」とニコニコ。燗をつけてもらったら、また味わいが変わった。昭和63年のぬる燗がよかった。またひとつ古酒の楽しみ方がわかった気がした。
あ、そうそう、飲んでいるときに地震があった。酔いかげんにより体感震度は2くらい。ずっと酒飲んでたら怖くないな。
酔い覚ましに、月の砂漠へ。
やっぱり海っていーなー! なんたって、でかい!
千葉の海! pic.twitter.com/PLpbGgrG8Y
— 橋村 望 (@KIKIZAKEJP) 2019年5月25日
酒量:古酒たくさん、ビール、フレッシュな日本酒もたくさん。
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