毎月一度、「インフィニット・酒スクール」のテイスティングセミナーへ。毎回、さまざまなテーマのもと、酒をテイスティングして分析する。今回は、各県が開発している酵母がテーマ。吟醸系の酵母なので、香り華やか甘めな酒が多かった。
吟醸系の酵母がだす、フルーティ香の裏には、かわいそうな話があり、涙なしには語れない。
低温下で造られる吟醸酒。生き物である酵母にとっては、非常につらい環境だ。なんたって寒い。寒いうえに、米が半分くらいに削られているから、栄養も少ない。つまり、飢えと寒さに襲われている状況だ。山で遭難したときを想像してほしい。そんな環境におかれることで酵母はなぜか、りんごとかバナナとかフルーティな香りを出すのだそうだ。けなげ!
散る間際に美しく咲く花というか、傷のついたりんごは甘いというか。酵母は自分の人生(酵母生)を必死に生きてるんだな、と思うとジーンとする。トマトもそうか。栄養を与えすぎない方が、甘くなったりする。
ちなみに、日本酒のフルーティ香を生み出す成分はたったの2種類。りんごっぽいと言われる「カプロン酸エチル」とバナナっぽいと言われる「酢酸イソアミル」。この2つの量の違いや、酸、アミノ酸、アルコール度数の違いによって、梨だったり、桃だったり、パイナップルだったり、グレープフルーツだったりいろんな香りに感じられる。
各県ではさまざまな酵母を開発しているのは、県ごとに個性をだして、地酒のPRを推進したいという気持ちがあるようだ。杉錦さんブログで見つけたこの記事が、長いけど詳しくてよかった。静岡県では、もともとカプロン酸エチル推しだったけど、今は酢酸イソアミル推しになった経緯について書かれてる。主に、鑑評会の話ですな。
ということで、主に東北地方の県酵母について、カプとイソどっちが多いか〜とか言いながら、いろいろ飲んだ。岩手の酵母は、ゆうこの想い、とか、ジョバンニの調べ、とか、名前に情緒あっていいな。
酒屋や飲食で働いている人、酒造りをしている人も来ているので、アレが美味しかったね〜みたいな話になったり、あちこちの酒蔵の話が聞けたり。要するに、酒好きが集まるので楽しい。
酒量:日本酒1合、ビール1杯、塩レモンサワー1杯