Netflixオリジナル『アンという名の少女』を見た。まだシーズン2の途中だけど、めちゃハマってしまった。
『アンという名の少女』は、小さい頃、世界名作劇場とかいうアニメで見ていた『赤毛のアン』の実写版。原作は、モンゴメリというカナダの作家の書いた作品で1908年に出版されている。
小さい頃に両親を失って孤児院で育ったアンが、牧場を営む老兄妹家族に引き取られて、自分の居場所を見つけ成長していくストーリー…。そう、まとめるとなんかつまらんな。でも、さすが名作。おもしろいんです。
まず、アン役の子が、めっちゃアニメのアンそのままの顔。よく見つけてきたなーっていう感じでイメージどおり。キュートなそばかすと、広めのおでこ。ひとつ違うのは、赤毛って言うけど、真っ赤じゃないんだなぁ。この子の演技がまたすごくいい。アンの必死さ、むき出しのピュアな感情、みたいなのが感じられてジーンとくる。
アンの前向きすぎる性格や想像力の豊かさは、これまでの孤児院の辛い生活の中で生きていくために培われたもの。自分の心、尊厳を守るため。でも、現実を見てないとか、まわりに合わせられないとか、そういう弊害ももちろんある。特に学校という場所では。
いわゆる空気読めない属にとって学校って最悪の場所だと思う。悪気はなくても人を傷つけてしまったり誤解されることで落ち込んでいて、見ていて胸がいたんだ。自分も学校、特に小学校は嫌いだったし馴染めなかったので、なんだかそれを少し思い出してしまった。
なんていうか、そんなもやっとした憂鬱な記憶も、アンを見てるとぜんぶいい意味に書き換えられるような気がするところがすごい。アホみたいな経験や失敗からも、見方を変えれば学ぶことは多いっていうか。
前向きすぎること、必要以上に明るく捉えることを嫌う傾向はあるけど、そこをドーンと押し切って正論で貫き通すパワーが、この作品にはある。アンのもつ膨大な前向きパワーが、ただの能天気ではなくって、しなくてもいい苦労や苦悩、ものすごいマイナスな場所から生まれているから、説得力をもつんだと思う。
舞台となるのはカナダのプリンスエドワード島。自然の描写を見ているだけでも、気持ちが安らぐ。著者もモンゴメリも島生まれだそうだ。脳科学者の茂木健一郎さんが、著者の紹介をしていた。
初めての記憶は「母の死」——ルーシー・モンゴメリの生い立ち | NHKテキストビュー
昔アニメでみたはずだけど、内容をまったく覚えていなかったので、新鮮な気持ちで見れた。実写版はいくつかでているみたいだけど、Netflixのは、カメラワークがとても現代的でいい。「ブレイキング・バッド」でエミー賞を獲得した脚本家も関わっているらしい。
アンを引き取ってくれた老兄妹、寡黙なマシューと堅実なマリラもすごくいい。マリラは、もっといじわるな印象あったけど、厳しい言葉の中にちゃんと愛が感じられる。そのへんは違う作品と記憶が混ざっていたかも。
http://www.nf-original.com/detail/145.html
あ、なによりいいのが、海外ドラマ特有の続きが気になりすぎる終わり方(クリフハンガーという)が、案外少ない。皆無ではないけど。これは、ドラマ中毒の私にとってとてもありがたい。
酒量:0