ワインやスピリッツの教育機関WSETが認定する日本酒の資格、WSET Level3 SAKE。昨年、春頃から半年受講して10月にテストを終えて、結果がやってきた。Pass with Merit。合格です。やったぁ。
利酒師、酒匠、SAKE Diploma、利き酒マイスター…日本酒の資格はいろいろあれど、WSETは、かなり難しかった。でもおもしろかった。
最初のハードルは英語。本拠地がロンドンなので、Level3は英語での授業、英語でのテスト、採点も海を超えてロンドンでおこなわれる(ロックダウンで結果が来るのが遅かった)。
Internationalに人一倍の憧れはあるものの、英語筋力は死に絶えている。しかも、SAKE Diploma Internationalは2回も落ちてる。脂肪ばかりで筋肉は無に等しい。必死に補強するところはじめた。発音と苦手な文法もがんばった。今思うと、費やした時間のほとんどが英語だったかも。
受講期間は、約半年間で全8回。今年はコロナ真っ只中だったので、はじまりはちょっと遅れた。ワークショップは完全に廃止され、受講生同士の交流は少なかったかも。
テストは2部制。テイスティングと筆記。合格するには、テイスティングで55%以上、筆記で55%以上をとる必要がある。半分ちょっとなので、楽なのでは?と言えないこともない。が、そんなこともない。どっちや。
事実、テイスティングはフォーマットが決まっているので、普通に味覚があればそこまで難しくはない。何人か知り合いや友人が受けているけど、落ちたという人はいない。
テストでテイスティングするお酒は2種類。色、香り、味わいの程度(甘み、酸味、旨味)、アルコール度数、その他の所見。生か火入れか、吟醸か否か、熟成か、など答えていく。
やはり難しいのは筆記!でも、難しさは、英語だからということよりも、出題傾向にある。
たとえば、SAKE Diplomaだと、ある酵母、米が生まれた年とか、火入れはいつから行われていたかとか、追い水とはなにかとか暗記する系の問題が多い。こういうのは、がんばれば一夜漬けでなんとかなる。
一方WSETでは、なぜ、こういう味わいの酒ができるのか、造りのテクニックを説明することに重点をおく。そのテクでどういうお酒になるのか、なぜそれのやり方を選択するのか。WHY?を突き詰める。そこが、これまでの他のテストと違っておもしろい&むずかしいところ。
例えば、普通酒や吟醸酒を造るためには、どんな米の処理が必要か。選ぶ酵母、米、酒母、醪の管理、火入れや瓶詰め、保管方法などなど、書くことがめっちゃ多い。私のときは、甘い酒を造るには?というパターンだった。
あとは米がどうやってできるか、なんて問題もある。このあたり、ワイン的な文脈なのか。米づくりゲーム、サクナ姫とかやってたら強いかも。
筆記は、正解に近い答えであれば、部分点がもらえる。多少文法がおかしくても、スペルミスっても、そこまで気にしなくていい。と聞いたので、がんばって書けるだけ書いた。
一緒に受講した中には、山口、宮城、新潟とか、あちこちの蔵の方も。蔵見学にきた海外の方に説明したり、海外に販促するためなんだろうな。WSET受けたことをきっかけに、貴醸酒造ることに決めた、という話がきけたのもおもしろかった。
現場で日本酒を説明する人、ビジネスで日本酒を扱う人、日本酒ファン…。いろんな方がそれぞれの理由で受けていた。私は、趣味半分、いつか使う懐刀として半分(早く活かせ…)。
この資格を日本にもってきたのが、酒サムライなどをコーディネートしている平出さんという方。世界的にまだそれほど知られていない日本酒をワインの文脈にのせて世界に発信するため、さまざまな活動をされている。ワイン&スピリッツ専門のWSETに、日本酒部門ができたのもそういった動きのひとつだそうだ。
それから日本酒好きの輪がまた少し広がったのも楽しかったな!数人でテイスティング訓練しながら飲んだのもいい思い出。最終的にはそれだな!
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