東京には田舎の人が多いという。みんなそれぞれにソウル風景を持っているんだろう。私のそれは、田んぼ道。もう田んぼしかないくらい田んぼ一色の青春だった。
秋田はいま、田植え前。田んぼに水がはられて、ピシッとした緊張感がただよう。それから小さな苗が行儀よく並べられるのを待つ。GWが始まると田植えが始まって、茶色い地面が、急に緑に変わる。早稲だな。あ、写真は昨年5月頃のものです。ただいま脳内帰省中。
いつも青々とした田んぼを眺めながら学校から帰った。家まで田んぼしかない道のりをひたすら歩く。退屈極まりない。そんな、なにもないところでもあぜ道の草を摘んだり蜜のある花を食べたりウロウロしてると、30分くらいの帰り道が1時間超になるので、何度も親に怒られた。
冬は雪が積もって田んぼがただただ真っ白になる。なにもないところに電信柱が頼りなげにぽつぽつと立つ。まじ、なんもねー!と叫びたくなるような場所だったな。寒いし。たまに、変質者もでた。小学6年生のとき、始めて変質者というものを見た。常識からあまりにも外れたものを見せられると、普通に「なるほど」と受け入れてしまうものだった。いや、逃げたけど。強く記憶に焼きついて離れない。どうしてくれるんだ、あのおじさん。もう大人になったからいいけど、って、いったいなにを書いてるんだ。
自然豊かで長閑で牧歌的ななようでいて、少し猥雑さも含んでいる。そんなのが自分のソウル風景となる田んぼ道と結びついていて、なんだかすごくなつかしい。
酒量:シークワーサーサワー1缶