11月1日は、焼酎の日。なのに、焼酎飲めなかったので、壱岐で見学した重家酒造さんの蔵を紹介する。ちなみに壱岐焼酎の日は、7月1日。WTO(世界貿易機関)の「地理的表示の産地」に認定された日だそうだ。
これまでに行ったことのある焼酎蔵は、宮崎県の霧島酒造さん(でかかった!)と鹿児島県の白金酒造株式会社さんの石蔵ミュージアム(木樽の蒸留器!)の2軒のみ。どんな造りをしているのか、すごい楽しみだった。蔵元の横山太三さんに案内してもらった。
蔵にはいると、まずはいきなり最新型の蒸留器。
醪(もろみ)を蒸留する蒸留釜。水蒸気を入れて醪を加熱する。ちなみに、常圧と減圧の切り替えができるそうだ。最新式!
蒸留窯からアルコールを含んだ蒸気がこの管を通って、
こちらの機器で冷却して、アルコール分を含んだ蒸気を液体に戻して、焼酎ができる。
これが単式蒸留器。壱岐焼酎をはじめ、本格焼酎と呼ばれるものはぜんぶこの単式蒸留器で蒸留される。ちなみに、この機器が何個も連なったのが、連続蒸留器。蒸留すればするほど、余計な成分がぬけて純アルコールに近づいていく。甲類焼酎と言われるやつ。キンミヤ焼酎とか。
焼酎の味わいを決めるのに一番大事なのは、常圧・減圧もあるけど、どの段階で蒸留をとめるか、ということと聞いた。とめどころによって、軽快か、香ばしいか、焦げっぽいのか……とか変化する。蒸留の最後の方に出てくる成分に、コクや厚み、深みを出す要素が多いというわけだ。
壱岐出身の壱岐人は、焼酎好きで、あちこちの焼酎蔵を見学したり、焼酎づくり体験もしたことがあるそうだ。で、だいたい蔵に行くと、蒸留器の話に終始することが多いそうだ。「蒸留器自慢」っていう銘柄ないかな。何が言いたいかというと、蒸留前の醪づくりに力を入れている蔵はそう多くない。
重家さんでは、さすが日本酒も造っているだけあって、麹づくりにも力を入れていた。
だいたいの焼酎蔵では全自動で麹をつくるそうだ。重家さんにもあった。乾燥までやってくれる、ドラム式全自動洗濯機みたいなのがあった。
そういえば、山田錦で麹米をつくったら、米焼酎みたいな味になったという話がおもしろかった。今は、タンクで寝かせているそうだ。いつか飲んでみたい!
壱岐焼酎の特徴は、米麹を使って麦で仕込むこと。麦焼酎なんだけど、米のふくよかさもある、と言われる(ものによる)。つまり、麦っぽくない麦焼酎。
もちろん、他にもそういう焼酎はたくさんあるけど、壱岐焼酎の場合は、米麹の分量が多くて、米麹:麦=1:3。約33%が米麹だ。日本酒で使われる米麹の量は、だいたい平均で20%くらいと考えると、かなり濃厚な麹の割合になる。 それこそが、壱岐焼酎の味わいのベースとなる。
とはいえ、伝統は伝統で守りつつ、若い人にも飲んでもらえるような新しいものを造りたい、と太三さんは言ってた。「確蔵」「雪州」とかTHE壱岐焼酎もあるけど、炭酸割りに合う「ちんぐ」「36(サブロック)」とか幅広く造っている。
「村主」は、太三さんのお父さんが造ったもので、20年以上タンクで寝かせていたものだそう。寝かせることで味がグッとでて美味しくなったそうだ(もちろん、お買い上げした)。父から子へ、なにか困ったことがあったら、このタンクを使え!みたいなことができるのもステキだなぁと思った。太三さんも、自分の子どもにタンクを残しているそうだ。
できたばかりの日本酒蔵とは対照的に、昔の思い出が詰まったような焼酎蔵に、とてもほっこりした。
酒量:発泡酒1本